日米間では1年前に交渉合意? 難航するTPPの猿芝居

これまでTPP交渉については、日本が参加する条件として「5項目の農産物を聖域化する」と公約した安倍政権と「例外なき関税撤廃」や大幅な規制緩和を求めるオバマ政権との間に大きな隔たりがあると報じられてきた。

それが合意していない以上、まだまだ交渉は難航しているはず。しかし、なぜか年明けから「3月末の基本合意を目標」といった報道が日本でも目につくようになり、あたかも「早期合意」が既成事実であるかのような雰囲気がつくられてきた。一体その裏には何があるのだろうか?

「そもそも農産物の関税に関して日米交渉は難航などしていなかったのではないか。実は日米双方が“猿芝居”を打っていた可能性もあります」

そう語るのは、東京大学農学部大学院の鈴木宣弘教授だ。

「日本政府は否定していますが、昨年4月にオバマ大統領が訪日した際、TPP日米協議で日本の牛肉の輸入関税を現行の38.5%から約9%に引き下げることなどを一度は合意しました。

しかし、実はそのたった2週間前に日本はオーストラリアと経済連携協定(EPA)を締結し(日本の)冷凍牛肉の輸入関税を38.5%から19.5%まで引き下げる取り決めをしていた。

これも重要品目を除外するとした国会決議に違反しているのですが、この数値をTPPの日米交渉でのレッドラインとして死守するから認めてくれと、国民に説明していた。このウソがバレれば、日本国内から猛反発が起きる。

一方、アメリカ政府は自国の農業界に対して、日本は『関税ゼロ』という条件を了承した上で交渉に参加したと説明していたので、日本の輸入関税引き下げが9%に留まるという合意内容は秘密にしたい。そこで日米は双方ともギリギリまでこの合意の存在を隠そうとしました。

ところが日本では、その合意内容がなぜかリークされ一部の新聞・テレビが報道しました。それを見たアメリカ側が態度を硬化させ『まだ(関税引き下げが)足りない』と強く出てきた。それで当時は日米交渉も暗礁に乗り上げたかのように見えたわけです」(鈴木教授)

しかし今年2月、鈴木教授はその見方を改めたという。

「最近、官邸からメディアにリークされた新たな合意案の中身が結局、昨年4月の合意内容とほぼ同じだったんです。

もちろん、一進一退の末に昨年4月の合意に落ち着いた可能性もないわけではありません。しかし『これだけ頑張ったのだから認めてくれ』と言えるように、あたかも大相撲を取っている演技をしつつ、表に出すタイミングを計っていただけ…という可能性は十分にあると思います」

ちなみにアメリカでは昨年11月に中間選挙が行なわれ、オバマ大統領率いる民主党は大敗を喫した。アジア太平洋資料センターの内田聖子(しょうこ)事務局長はこう言う。

「来年11月に大統領選挙が控えており、今年の夏以降は完全に選挙に向けた政治状況になる。そのため、オバマ大統領はどんなに遅く ても今年の秋までにはTPP交渉の最終的な妥結までに持ち込みたいと考えているはず。そこから逆算すると5月には参加国による基本合意が必要で、そのため の重要なステップである日米交渉はなんとしても3月中に決着をつけたかった、というのがアメリカ側の本音だと思います。

一方、日本も来年7月に参院選がある。だから安倍政権としても、その前になんとかTPPを形にして『成長戦略』を演出したいと考えている。交渉の中身にはいまだ多くの問題が残っているのに日米双方が政治的状況から合意を急ごうと焦っている。本当にメチャクチャな話です」

来年の大統領選挙に向け実績を残したいオバマ大統領と「成長戦略」の目玉が欲しい安倍首相。ふたりは「TPPを早く妥結したい」という思いを共有している。それだけに協力して猿芝居を打っている可能性は十分あるわけだ。

アジア投資銀との協調、環境・社会への配慮が条件

アジア開発銀行(ADB)の中尾武彦総裁(元財務官)は25日午後都内で講演し、中国主導のアジア投資銀行(AIIB)とは補完的関係にあり敵対はありえないとしつつ、実際にAIIBと協力する場合には、「環境や社会への配慮が条件」と強調した。

日米主導のADBに対して中国主導のAIIBに対して米国と関係の深い英仏独など先進国各国が参加を表明したことで、アジアで類似の組織が並立しADBの存在理由が変化する可能性や、日米韓のAIIBへの参加是非が地政学的な焦点に浮上しつつある。

中尾総裁は、アジアには「インフラ関連だけでも膨大な資金需要がある」として、複数の国際機関が並立することに何ら問題ない点を強調した。

現時点では中国高官もADBとAIIBは補完的関係にあるとの見解を示しているとし、「AIIBとの協調融資が考えられる」と指摘した。

ただ、その場合は「環境や社会への配慮が条件」と明言。ADBが環境や社会への配慮を重視するのに対して、中国側が途上国には途上国に適した融資慣行が必要で先進国の慣行が「ベストプラクティス(最前)とは限らない」と主張していると指摘。環境・社会への配慮に関し中国側と隔たりが存在することも示した。

AIIBがADBよりも低利で簡素な融資を行うことで影響力を高めるリスクを記者が質問すると、「貸付基準を緩めるつもりはない」と述べた。

米国の利上げによる金融正常化の影響について、「アジアの金利が少し上がることで大きな混乱はないだろう」とし、「米国の利上げが可能なのは米経済が好調なためで全体として(アジアに)ポジティブ」との見解を示した。

 

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金融政策にさまざまな手段、QQE執行に問題生じてない

黒田日銀総裁は20日、午前の衆院予算委員会で、さまざま金融政策の手段を活用し、2%の物価安定目標を達成すると語った。前原誠司委員(民主)への答弁。

黒田総裁は、 量的・質的金融緩和(QQE)の推進による大規模な国債購入のリスクを問われたが、「これまでのところ量的・質的金融緩和の執行に特段の問題は出ていな い」とし、「国債市場の動向には常に留意して市場関係者との対話を続けている。当面、何か問題が起こるとは思っていない」と語った。

その上で、国債買い入れのリスクについては財政面と金融政策面を分けて考える必要があるとし、財政については「信認が失われれば金利に影響するリスクがあるのは事実。だからこそ政府は財政再建目標を決め、それに向けて着実に前進しようとしている」と指摘。

金融政策では「さまざまな手段があるので、必要に応じて適切に導入することで2%の物価安定目標を達成すべきだし、達成できると考えている」と述べ、財政・金融政策の両面で国債買い入れに問題は生じていない、との認識を示した。

バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委員会)は、銀行が保有する国債のリスクウエートをゼロとする規定の見直しに着手 しているが、この点について総裁は「国債の現在の扱いを変えるとか、金融機関の自国の国債保有に資本を積ませるとか一定の方向性を持って検討することでは ないとバーゼル委員会自身が明らかにしている」と語った。

また、QQE推進に伴う金利の低下とインフレ期待の上昇による実質金利の低下が国民資産の目減りにつながっていると の指摘に対しては「現時点で実質金利がマイナスになっていることで国の実質的な債務負担が減っているのは事実」と答弁。目標実現の過程で「債権・債務者に とってプラス・マイナスあり得る」としながら、「あくまでも経済全体の好循環を実現し、物価目標の達成に必要な金融緩和と理解いただきたい」と強調した。

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